アロマテラピーの歴史

「アロマテラピー」という言葉は、フランスの化学者により、1900年代に出版された『芳香療法』という本で広く知られるようになりました。
この書籍からもわかるように、植物がもつ香りの特性を日常生活に取り入れることは、古くから行われていました。古代から、香りは神からの授かりものとして考えられていたようで、宗教的な儀式の中で香木や花などが焚かれました。
古くは、紀元前300年頃までさかのぽります。古代エジプトではすでに、医療の目的や化粧品のために精油を利用していました。また、ミイラをつくるために、シダーウッドや投薬、ニッキなどを防腐剤として使っていました。パピルス文書によれば、乳香やオレガノ、コリアンダーといった芳香植物が香料として使用されてたことが確認されています。エジプトだけに限らず、メソポタミアやギリシャなどでも、宗教儀式や医療、装飾に芳香植物を利用していました。
インドでは、紀元前600年頃からアーユルヴェーダ(古代インド伝統医学) が成立し、今日まで継承されています。そして、有名な話ですが、紀元前100年頃にクレオパトラは、香料、とくにバラを好んで入浴や香水に使ったといわれています。西暦100年になって、ギリシャの医師600種以上の植物に関する『ギリシャ本草』を書いています。
1000年代には、アラブ人によって現在も使用されている抽出法、水蒸気蒸留法が発明され、1300年代には、イギリスでラベンダーが栽培され、芳香蒸留水であるラベンダーウオーターがポピュラーなものとなりました。
1300年代の頃から芳香植物を油に入れて加温し、その成分を浸出して使うようになります。その作り方や油を用いたマッサージ法は、現在のアロママッサージの標準となっています。また、アルコールを使ったローズマリーウォーター(化粧水の原点) は、ハンガリーの王妃エリザベートが高齢になってから、若返りの水として洗顔のときに愛用していたといわれます。1664 年、ロンドンでペストが大流行し、そのとき香料がもっている殺菌消毒効果が世の中に広く認められました。
やがて、多くの精油が科学的に研究され、ガットフォセが書いた『芳香療法』の登場となるわけですが、その間にも、民間療法として、薬草や芳香植物は一般の人に利用されてきました。18世紀のフランスでは、ニースを中心に香料産業が盛んになり、パリでは香水の人気に火がつきました。また、ヨーロッパでは、カルペパーやパーキンソンといった有名な薬草学者が活躍し、精油や芳香植物を利用した医療が盛んになりました。
19世紀になると、大きく進歩した西洋医学や薬学の影に隠れて、芳香植物を利用した療法は衰退しましたが、自然療法としてのアロマテラピーの価値を見いだす人々によって、再び世界に広がりはじめました。

日本にも1980年頃にアロマテラピーに関する本が登場しましたが、当初は、理解はされなかったようです。少しずつ、自然回帰の声の高まりとともに、じわじわと見直され、今日に至っています。日本にも苦から「香道」が存在しますし、平安時代には香りそのものを楽しむ遊びや、マナーとして香りを用いるということが行われていました。身近なところでは、菖蒲湯やゆず湯といった、民間に伝わる芳香植物との関わりがあります。現在は、欧米と同じように、純粋な精油やハーブを使ったアロマテラピーを、香りによるリラクゼーションの方法として日常生活に取り入れたり、専門家による研究も進められています。

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