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スキンケア

精油のもつ素晴らしい力は、伝統的に古くから肌のお手入れにも利用され、美肌効果は広く知られています。有名なエピソードには、ハンガリーの女王が70歳代のときにローズマリーウオーター(化粧水) で若さを取り戻し、ポーランドの国王から求婚されたというものや、クレオパトラは、美しい肌を保つためにバラの香水風呂を愛用していたという歴史もあります。
精油には保湿作用、抗酸化(老化を防ぐ)作用、収れん作用などの働きがあるほかに、心身をリラックスさせる効果もあります。その結果、血行が促進されて新陳代謝が活発になり、体内に取り入れられた酸素や栄養素が充分に運ばれるという相乗効果が期待できます。手作りの化粧品なら自分の好きな香りが楽しめ、しかも防腐剤や添加物を使用しないので安全・安心でもあります。
肌の状態に合わせて上手に用いることで、さまざまな肌のトラブルを改善し、内面から美しさを引き出してくれる点が特徴です。

フェイシャルスチーム

肌に香りのスチームを当てて毛穴を開き、洗顔だけでは落としきれない毛穴の汚れや老廃物を取り除く美容法です。洗面器に熱湯を入れます。お湯の温度が高すぎると精油はすぐに蒸発してしまうので、1~2分間冷ましてから精油を1~2滴落とします。あとは途中で差し湯をしながら5~10分間蒸気を顔に当てるだけ。
蒸気が逃げないように頭からバスタオルをかぶり、必ず目を閉じて行います。終わったら冷たい水で顔を洗って毛穴を引き締めます。
使用する精油は、肌が乾燥ぎみのときはサンダルウッドやローズ、ベチバー。脂っぼさが気になるときはゼラニウム、イランイラン、ジュニパーベリー。くすみや老化が気になりだしたらゼラニウムやラベンダーを。
これはドライハープでも利用できます。ハーブは5g~10gを洗面器に入れて熱湯を注ぎ、ふたをして1~2分間待ち、精油と同様に蒸気を当てます。
フェイシャルスチームは、洗顔のあとに、週1回くらいのペースで行うといいでしょう。肌の弱い人は時間を短くしたり、肌の様子を見ながら行います。香りを強く吸うので好きな香りを選ぶことも大切です。
また、ときどき口を半開きにして呼吸をすると、のどや鼻がすっきりするので、風邪をひいたときにもおすすめです。

フェイシャルパック

カオリンを使った手作りのパックは、肌が疲れて肌色がくすみがちなときに、毛穴や皮膚の汚れを取り除いて栄養を補給してくれます。
パックは、基本的にカオリンなどの鉱物に、キャリアオイルと精油を加えて作ります。カオリンとは天然の長石類の風化物で、白色の粘土のような鉱物です。
薬局で購入できます。カオリンは肌の汚れを引き出し、血行を促して活力を与える力がありますが、ニキビ肌の人には向きません。
また、敏感肌や乾燥肌の人はモンモリオナイトという陶土がおすすめです。ひんやりとした感触で、一度使うと手放せなくなりそうな心地よさも評判です。
使い方は、まず洗顔後、水気を拭き取った肌に目と口のまわりを避けて顔全体に均一に塗り、5〜10 分ほどしてパックが乾いたら、ぬるま湯で洗い流します。フェイシャルスチームと併用するときは、スチームのあとに行います。週1 回のお手入れで充分です。肌を清潔にして引き締め、透明感をもたらします。

フェイシャルマッサージ

フェイシャルマッサージは表情筋をほぐし、疲れをやわらげて、イキイキとしたハリのある素肌を取り戻します。
肌の栄養状態がよくなるので、組織の働きを高めて抵抗力を強化してくれます。顔は血管や神経、リンパ管の分布が発達していて、どの流れも耳の周囲に集まり、首の横を通っています。
マッサージはこの流れと筋肉に沿って行います。顔の中心から外側へ、下から上へ向かうようなつもりでやさしく指先を動かします。
マッサージが終わったらオイルは拭き取らないで、朝までじっくりと成分を浸透させます。油分が気になるときはティッシュペーパーで余分なオイルだけを取ります。マッサージオイルは化粧水をつけたあとに、毎日使ってもかまいませんが、精油の希釈濃度は0.5%以下にします。鼻の近くにつけるものなので、香りの強いローズなどは、より低い濃度にします。必ずバッチテストをしてから使います。

石鹸

市販の無香料、無着色の石けんに精油やドライハープを加えて作るボディ用手作り石けんは、合成香料や防腐剤が入らないので、アレルギーや敏感肌の人にも喜ばれます。
肌への刺激が少なく、簡単に作れて色や形も自在に楽しめます。さらに、モチがよく、最後まで香りが消えないのも魅力です。香りを楽しむインテリアとして利用してもいいでしょう。下着ケースなどの中に入れて置いてもよいです。
石けんに使う精油は、ローマンカモミール、ゼラニウム、ラベンダー、ネロリ、ローズが人気です。肌質によって加える精油を変えるとより効果的に使えます。殺菌効果が強く、肌を引き締めてハリをもたらすラベンダーは、とくに脂性肌や吹き出物ができやすい肌に向きます。敏感肌や乾燥肌にはローマンカモミールやネロリ、しみやくすみが気になる肌にはゼラニウム、老化が気になる肌にはローズやサンダルウッドがおすすめです。オートミールや米ぬかを混ぜたり、ラベンダーの花などハーブをそのまま練り込んでもいいでしょう。

ローション

精油の香りとホホバオイルの栄養分を合わせた、肌に穏やかな手作りのローション(化粧水) です。
クレンジング後の拭き取りや、メイク前の収れん用などに安心して使えます。精油は肌質によって変えるのが効果的です。
普通肌には健康的な肌を作るゼラニウム、脂性肌にはラベンダー、乾燥肌にはローマンカモミール、敏感肌にはローズ、老化が気になる肌にはネロリがおすすめです。
乾燥肌、敏感肌、老化肌は精油の量を1滴に、脂性肌はホホバオイルの量を1mlに減らします。ローションは朝晩の洗顔後に、コットンにたっぶり含ませてパッティングしながらつけます。手作りのローションは防腐剤などが何も入っていないので生ものと同じです。ローションに使う水は水道水は避けてフローラルウォーターや精製水、ミネラルウオーター(飲用)を使用します。作るときの器具や保存容器は、清潔でオイルに対応するものを使います。冷蔵庫に保存して約1週間で使い切ります。

クリーム

唇の荒れや手手足のかさつき、軽いひび割れなどには、クリームを使います。クリームを作るときには、ピーワックス(蜜ろう)を使用します。
ピーワックスは蜜蜂が巣を作るときに出す天然のワックスで、皮膚を柔軟にする成分や保湿を促す成分が含まれます。抗菌作用があるので台所での小さな傷ややけど、虫に刺されたときに塗っても効果的。クリームはピーワックスとキャリアオイルをベースに、精油を加えて作ります。ピーワックスとキャリアオイルの比率を変えれば、作り方は同じで粘性の違うクリームが作れます。

シャンプー

手作りシャンプーは、頭皮に負担をかけることなく、健康な髪を保つことができます。シャンプーの基材は市販の無香料のシャンプーを用意そこにキャリアオイルと精油を加えます。精油は頭皮のトラブルを改善するローズマリーなどがおすすめ。洗い流すので濃度は多少強くても大丈夫ですが、基本は1%です。一度にたくさん作らず、2~3回分ずつ作ります。

リンス

手作りのリンスはシャンプーと同様、使い続けるうちに頭皮が自分でバランスを取れるようになり、どんな髪にもツヤがでるようになります。
リンスはお酢(ビネガー) に精油を加えて作ります。シャンプーのあと、お湯を入れた洗面器にリンスを10~20 ml ほど加えてよく混ぜ、髪全体になじませるようにかけます。洗い流す必要はありません。
枝毛、抜け毛、フケなどのトラブルを解消して養毛効果も期待できるので男性にもおすすめです。また、リンスの代わりに、洗面器にお湯を入れ、ローズウッドやローマンカモミールの精油を2~3 滴落としたものに髪をつけて、すすぐだけでも有効です。

マッサージ

筋肉の緊張をほぐし、リラックスさせてくれるのがマッサージです。これに精油の香りがプラスされると、よりリラックス効果が高まり、皮膚を通して有効成分がからだに浸透します。さらに、血行を促して肌をなめらかにしたり、リンパ液の流れをスムーズにする効果もあります。リンパ液は細胞から出された老廃物や水分を回収して浄化し、尿として体外へ排出させる働きをします。この流れが滞ると、むくみや疲労の原因になります。特に夏の間、冷房やクーラーで代謝が悪化しているようなときに行うのが効果的です。
マッサージに使う精油は、精油だけを肌に直接つけることはできないので、ほかの植物油( キャリアオイル) で薄めて使います。精油はキャリアオイルによって刺激がおさえられ、肌に浸透しやすくなります。キャリアオイルもそれぞれ効能が違いますから、目的に応じて使い分けましょう。
マッサージには自分で行う場合(セルフマッサージ) と第三者にしてもらう場合があります。スキンタッチには痛みを癒してこころを落ちつかせる作用があるので、精神的に落ち込んでいるときなどは、信頼できる第三者にお願いするより効果的です。
マッサージは一度に全身を行う必要はありません。気になる部分から少しずつ行いましょう。また、効果をより高めるには、肌が清潔で血行もよくなっている入浴後がおすすめです。からだが温まっているとオイルの浸透がよくなることも理由のひとつです。
事前に蒸しタオルで温めたり、入浴中に行うのもいいでしょう。

マッサージの基本

マッサージには、手のひらでさする、たたく、指でもみほぐすなど、いくつかの方法があります。目的に合わせて手段を変えれば、筋肉の疲れを取るほかに皮下脂肪の燃焼や内臓の機能を高める効果も期待できます。いずれも呼吸に合わせてゆっくりと行います。

  • 軽擦法…手のひらを肌に密着させて、軽くなでたりさすったりしながらゆっくりと滑らせます。血液やリンパ液の循環を促進する、リラックス効果の高いマッサージです。
  • 強い擦法…手のひらや指先で、なでたりこすったりする方法で㌻。軽麻法より力を入れて、強さやスピードに変化をもたせます。皮下の深部まで刺激を与えることができます。
  • 柔捏法…手のひらや指先を使って、筋肉や皮下脂肪をもみほぐす方法。新陳代謝を活発にして、体内の老廃物を取り除きます。ゆっくり行うとリラックス効果もあります。
  • 圧迫法…マッサージしたい部分に、自分の体重を乗せるようにして手のひらや指でゆっくり圧迫します。戻すときもゆっくり戻すのがポイントです。神経の高ぶりを鋳めます。
  • 叩打法…きます。両手の力を抜いて交互に筋肉の上をリズミカルに強めで早く短く行うと神経や筋肉に興奮を与え、軽くゆっくり長く行うとリラックスできます。

自分で行うセルフマッサージも効果的

マッサージにはパートナーと行うマッサーシのほかに自分で行うセルフマッサージがあります。からだの部分ごとに適した方法で、凝りや疲れを手軽に解消できます。
ひとつの動作は三回を目安に繰り返し、自分が心地よいと思えるマッサージを、行います。

顔と首

顔や首は外気の刺激を受けやすく、日々の 動作で繰り返し筋肉を使うためシワができやすい部分です。マッサージで老化を予防してトラブルに負けない健康な肌にします。

  1. マッサージオイルを手のひらに少量取ります。顔の中心から外側へ、下から上へ向かって両手を動かしてオイルを顔全体にのばします。
  2. 中指と薬指で額の中央からこめかみまで、らせんを描くように動かします。シワを引き上げるつもりで行い、指を下に動かすときは力を抜きます。
  3. 中指で両目のまわりを圧迫します。ただし目のまわりの皮庸は薄いので力を抜いて軽く行います。目の疲労や目尻の小ジワに効果的です。
  4. 親指以外の4 本の指で、頬全体を大きならせんを措きながらゆっくりと軽擦(なでてさする)します。体液の流れが促進されて、むくみやくすみを改善します。
  5. 首の中央から後ろへ向かって大きくらせんを描くように軽擦します。マッサージをする首側と反対の手のひらを使うとマッサージしやすいでしょう。
  6. 首を様に少し傾けて、反対側の手のひらで首から肩にかけて大きく円を描くように軽擦します。首や肩のこりを鎮めるのにとても役立ちます。

手と腕

年齢を感じさせない手と引き締まった腕を保ちます。マッサージはひじの内側と脇の下にあるリンパ節に向かって行うと、体液の循環を促して、たるみや疲れや緩和することができます。

  1. 手のひらにオイルをとり、軽擦(なでてさする)しながら手と腕全体にマッサージオイルをのばします。腕の外側を上がり、内側を戻ります。
  2. 腕全体を手首からひじ、肩へ向かってらせんを描きながら軽擦します。たるみがちな二の腕やかさつきやすいひじは特に念入りに行います。
  3. 腕の外側を手首からひじまで親指で強擦(なでてこする)。次に手のひらを上向きにして内側も同じように親指で強擦します。
  4. 親指で指のつけ根から爪へ向かってらせんを描きながら軽擦します。
  5. 新しい爪が作られる爪のつけ根部分(爪母)と関節をていねいにマッサージします。
  6. 手のひら全体を親指でもみほぐします。手のひらは足の蓑と同様、からだの諸器官に対応する反射区があります。
  7. 最後に2と同じように手と腕全体をらせんを描きながら軽擦します。

腹部

ストレスによる便秘や胃痛など、精神面でのトラブルが起こりやすい部分です。マッサージでリラックスさせて緊張をほぐし、胃腸の調子を整えます。特にお腹を壊しやすい、便秘症の人は念入りに行います。

  1. まずマッサージオイルを片手にとり、腹部全体に右まわりに塗ります。次に、みぞおちを片手の手のひらで左まわりにゆっくり軽擦(なでてさする)します。
  2. 両手を重ねておへその周りを右まわりに軽擦します。
  3. 左手の手の指先をそろえたまま小さな円を描き、おなかりを右まわりに移動していきます。便秘がちな人はやや強めに押します)
  4. 少しずつ交互に動かして脂肪をつかむように揉捏します。ウェストを引き締めたいときに重点に行います。

心臓から遠い下半身は代謝が悪くなりがちで、むくみやすい部分です。疲労感や痛みをそのままにしておくと体型が崩れる原因に。疲れはその日のうちに解消するようにします。

  1. 手のひらにマッサージオイルをとり、片足ずつ足全体に塗ります。手のひらをそろえて足の前面をつけ根から甲に向かって進み、裏側は、手のひらで包むようにして戻ります。
  2. 足の指を1 本ずつ、指のつけ根から指先に向かってらせんを描くように親指で軽擦(なでてさする)します。足の甲全体に小さな円を描きながら軽擁します。
  3. 親指で交互に小さな円を描きながら足の裏全体を軽摸します。指の裏から始めて、かかとへ移動していきます。
  4. 親指を除く4 本の指でくるぷしのまわりを軽擦します。
  5. 両手の人差し指の側面で、ふくらはぎをしごくように交互に強擦(なでてこする) し、そのまま太ももの東側も強擦します。関節にあるリンパ節を圧迫しないように、膝はできるだけのばして行います。
  6. 太股の内側を足と同じ側の手で膝から足の付け根に向かってらせんを描きながら軽擦します。最後にもう一度1を繰り返します。

マッサージオイルについて

マッサージに使うオイルは精油とキャリアオイルをブレンドした、純度畑% の自然なオイルです。直接肌につける場合、精油は必ず薄めて使います。
希釈濃度(キャリアオイルに対する精油の比率) は、普通濃度で1% 、低濃度は0.5% 以下です。敏感肌の人は低濃度から始めるのが安心です。
普通肌の人でも1% を超えないように注意します。目安としては50mlのキャリアオイルに10滴の精油を加えると1% 、5 滴で0・5 % のマッサージオイルができます。
オイルは適量を手のひらに取り、両手をこすり合わせて温めてからからだにつけます。マッサージ後は、オイルの成分を充分に浸透させたいので洗い流す必要はありません。ベタつきが気になるときはタオルやティッシュペーパーで押さえて余分な油分を取り除くか、夏は軽く洗い流してもいいでしょう。ただし、肌が炎症を起こしているときや、日焼け直後でほてりのあるときはマッサージは厳禁です。

温湿布と冷湿布を使う

洗面器にタオルが浸る程度の湯量に、温湿布なら熱湯、冷湿布の場合は10~15度くらいの冷水を入れ、好みや目的に合った精油を1~2滴加えます。その中に、短冊折りにした清潔なタオルを浸します。温湿布の場合は、あとで絞るときにやけどをしないようにタオルの両端を持ち、その部分はお湯につけないようにするといいでしょう。
表面に浮いた精油の油膜をタオルにすくうように含ませ、両端をひねって絞ります。温湿布では使うタオルが熱いことが重要です。
タオルの温度を下げないように、別に蒸しタオルを一枚用意して上から覆ったり、冷めてきたらもう一度熱いお湯に浸して作り直しましょう。やけどの心配がない冷湿布なら、当てる場所によってハンドタオルやハンカチ、コットンなどを使い分けるのも便利でオススメです。精油は痛みをやわらげる作用をもつラベンダー、ゼラニウム、ローマンカモミール、タラリセージ、サイプレス、ユーカリ、ローズマリーなどをが効果的です。